カテゴリ:books( 44 )

チョコレートより和菓子が食べたくなる #「和菓子のアン」(坂木司)と #「アンと青春」

「女子的生活」の著者 坂木司さんの作品で、和菓子をテーマにした小説です。

アンちゃんこと梅本杏子(18歳 身長150cm 体重57㎏)が主人公のお仕事ミステリー。


ぽっちゃり目のアンちゃんは、百貨店の中にある店舗「みつ屋」でアルバイトを始める。


洋菓子ほどの華やかさはないけれど

和菓子は歴史や謎に満ちていて、私たちの想像力を刺激するスイーツだ。


例えば一月なら

純白のイメージで端に竹のモチーフが描かれている『雪竹』

桃山のような生地の表面に松の紋様を焼印で押した『永松』

一番外側は梅の紅色でその中は白と黄色になっている『未開紅』など…


八月の和菓子「松風」の名前の由来は、

表面に芥子の実や黒胡麻を散らし、裏側には何もないことから

”松風の音ばかりで浦(裏)がさびしい”と連想され、

「待つばかりで、さびしい」という気持ちに繋がっていく。


私達の生活の中にも、

物語をはらんだ暗号のような和菓子の歴史が詰まっているのだ。



続編「アンと青春」の方では、「甘酒屋の荷」という諺の意味が、

ほんのりと甘い隠し味になり物語を引き立てている。


* 「甘酒屋の荷」は”片想い”の意♡


”甘酒”は奈良時代は冬の季語として使われていたが

江戸時代には夏の季語になったという。


夏の季語になった理由は

甘酒の栄養価が高く、夏バテを防ぐ事から。


飲む点滴とも言われている甘酒の栄養素は、

「アミノ酸」「ビタミンB1」ビタミンB2」「ビタミンB3」「葉酸」

「オリゴ糖」「食物繊維」「アルギニン」「システイン」「グルタミン」など…


甘酒は基本的に、お米を炊いて、米麹を混ぜて

温度を保てば一晩で出来るので『一夜酒』とも呼ばれている。



「アンと青春」には、「金沢21世紀美術館」の『スイミング・プール』

(レアンドロ・エルリッヒ作)をイメージした和菓子も出てくる。


『スイミング・プール』は、プールの底に服を着たままの人がゆらめいて見える

インスタ映えしそうな不思議なプール。


これをイメージして作った和菓子の色や形から、アンちゃんは

立花さん(私のキャスティングでは”千葉雄大クン”w)が旅をした場所を言い当てる。


和菓子から謎を解いていくというのは、かなり斬新なミステリーで味わい深い。


しかも、読み終わるとほっこりと”口福”いや、”幸福”な気分も味わえる。

(…で、すぐに和菓子を買いに走りたくなるしw)


さぁ、あなたも、

美味しい和菓子を食べてる自分を思い浮かべながら

「自分自身」と『誰かの幸福』になって下さいね♪♪v(*'-^*)^


---------------------------------------


余談ですが、和菓子と言えば「お茶」


今注目しているのは、

若い人達にも気軽に茶会を楽しめるようにと

近藤俊太郎さんが主催している『アバンギャルド茶会』🎶


去年の「日曜美術館」で沼野さんの器でお茶会をしているシーンを観てから

興味を持ち始めました!


美味しい和菓子と素晴らしい器でいただくお茶のマリアージュは

最高のひと時を演出してくれることでしょうね~(*>▽<*)ゞ


---------------------------------------



[PR]

by ai-3sun | 2018-02-03 23:57 | books

最高の”死神エンタテインメント小説”! 「死神の浮力」(伊坂幸太郎)



「浮力」とは?

------浮力の強さは重さとは関係ない。


------体積によって浮かぶ力が決まり、大きいものほど浮かぶ力が強い。


---------------------------------------


死神の「千葉」は、浮力に対してこんな言葉を発する。

「そいつも働くんだろ。地味に真面目に仕事をするものには好感が持てる」


(その後の「香川」のセリフ、「まあ浮力が働く、とは言うけどね」というオチが秀逸過ぎて感動~!)



小説家の山野辺遼は、植物毒についての短編を10年ぐらい前に発表している。

娘の山野辺菜摘は、その本を読んでいた本城崇という男に毒殺された。

本城は、”25人に1人という割合の良心を持たない人間”(=サイコパス)だ。

良心を持たない人間は、支配ゲームの中で他者を支配して勝つことが目的であり

他者を苦しめても全く気にならない。

一度は犯人と断定された本城だったが、「無罪」の判決が下ってしまい、

山野辺遼と妻の美樹は控訴期限の間に娘の敵討ちを試みるのだが…


そこへ死神の「千葉」が登場する。

死神は対象者への死の可否の判定をする役目を担っている。

死神が好きなのは「ミュージック」だけだ。

感情で働いていないので、深刻な場面でもちぐはぐな返答をしてしまう千葉に、

山野辺夫妻は訝しがりながらも次第に打ち解けていく。


一つ目のポイントとなるのは、渡辺一夫の著書の中の

「寛容は自ら守るために、不寛容に対して、不寛容たるべきではない」という言葉だ。


優しい人はひどい事をする人に対しても寛容であれということらしい。

(被害者としては納得がいかないが!!)

この言葉によって復讐を決めた山野辺夫妻は、

「寛容は自らを守るために、不寛容に対して、不寛容になるべきなのかどうか?」と時に悩む。


もう一つのポイントは、パスカルの「敬意とは面倒くさいことをする」という言葉。

敬意を払っているかどうかは、上辺だけのお世辞だけでなく

その人のために”いかに面倒くさいことをしてくれたか”で感じられるものだと言う。


山野辺夫妻のために面倒くさいことをしてくれた千葉は、最終的にどんな判定をするのだろう?



この本の中では、「人がなぜ争いをするのか」についても語られている。


人間というのは、穏やかな時間が長く続くことに耐えられない。

その退屈さが不安を生み出し、「このままでいいのか?」と思い始め

何も起きていないのに集団は怯え、抗争や戦争が起きるというのだ。


人間は争いを起こして、進化してきた。

争いは放っておいても起きるから『平和は苦しくて、戦乱は楽』なのだと。


(今の世界情勢を見ても、確かにそういう方向へ流れようとしているような気がする。)



ところで、数々の臨場感溢れるシーンでの、登場人物たちの行動や風景描写が

まるで映画を見ているみたいだと感じたのだが、

この謎は、円堂郡司昭さんの「解説」によって解決した。


伊坂さんは映画のDVDをコマ送りにしたり止めたりしながら、

映像で見たアクションを文章に書き起こし、自作の小説に組み込んだことがあるというのだ。


そういう努力の賜物が、伊坂さんの小説の面白さに繋がっているんだなー!!!


のっぴきならない状況でも登場人物たちが軽口をたたいてみせたり、

読者の肩に力が入るのをふゎっと抑えてくれたりして、至れり尽くせりのサービス満点なところも。


切羽つまっている山野辺夫妻なのに、千葉の発言にふっと笑うところを

”山野辺たちが空気を小さく震わせた”と描く、この伊坂さんの優しさも凄く好きだ。。



ちなみに伊坂さんがこの小説を書くにあたっての参考文献も、とても興味深い。


幾つか挙げると


『良心をもたない人たち 25人に1人という恐怖』(マーサ・スタウト)


『狂気について 渡辺一夫評論選』(渡辺一夫)


『パンセ』(パスカル)


『邪悪な植物 リンカーンの母殺し!植物のさまざまな蛮行』」エイミー・スチュワート


ここで私は、ちょっと植物の毒についても話をしたいと思う。


スズランに毒があるってこと、みんなは知ってる?

多分ほとんどの人が知らないんじゃないかな、可愛らしい花の姿に惑わされて。


まず、花、葉、茎、根を食べないこと!!!(まぁ、ふつうは食べないけど…)

手で触ってもダメなんだって!

だから、スズランの植え替えの時はゴム手袋を使用する方がいいらしい。

それに、間違って花を食卓に飾ると、その花粉によって下痢や嘔吐にもなるという。

花を挿しておいた花瓶の水を飲んでも死ぬというし…ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!

(私はスズランの写真を撮るために、花に近寄ってしまった事がある!)


ついでに言うと、「スイセン」にも毒があるんだって。

私の持っている「花図鑑」には毒のことは載っていないから、ずっと知らなかったが。

そういう重要な事は、必ず書いておいて欲しい!



だいぶ横道に逸れてしまったけれど

「死神の浮力」は誰が読んでも面白い小説だと思う。

もちろん、前作の「死神の精度」を読んでいない読者でも!


いつか私のところにも死神が来るのなら、

絶対に仕事熱心な「千葉さん」を指名したい。

指名できるのならばw 


---------------------------------------




[PR]

by ai-3sun | 2017-12-29 23:36 | books

『アイネクライネナハトムジーク』(伊坂幸太郎)


「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」とはドイツ語で

「ある、小さな、夜の曲」(”小夜曲”)とのこと。


”ただの風かなぁ、って思ってたんだけど、後になって、分かるもの”…


”あれがそもそもの出会いだったんだなぁ、って。

これが出会いだ、ってその瞬間に感じるんじゃなくて、後でね、思い返して、分かるもの”

と、織田由美が話す。


風のように、小さく聞こえてくる、夜の音楽みたいな、

その”ひと時の出会い”がリンクしていき、

ちょっとした奇蹟を引き起こして、出会った人たちの人生を変えていくというストーリー。


(伊坂さんお得意のテクニックがふんだんに使われていて、ファンとしては堪らない!)


伊坂さん本人の”あとがき”によれば、

一つ目の短編「アイネクライネ」は、斉藤和義さんから「『出会い』」にあたる曲の

歌詞を書いてくれないか」と依頼をもらったのがはじまりだったという。


伊坂さんは「恋愛もの」に興味がなかったらしいのだが、

斉藤さんのファンだったことから仕事を引き受け、斉藤さんもこの短編の文章を使う形で

『ベリーーベリーストロング~アイネクライネ~』という曲を作った。


そして、二つ目の短編「ライトヘビー」は、斉藤さんの

『ベリーーベリーストロング~アイネクライネ~』がシングルカットされ、

その初回限定盤の付録用に伊坂さんが書き下ろしたものだそうだ。







(MVには、小説に出てくる”ウィンストン小野”らしきボクサーも登場している!)


ところで、この物語の中にも「斉藤さん」と呼ばれる風変わりな仕事をする人が登場する。

路上でテーブルを置き、箱の中に100円を入れてもらうと

「斉藤さん」はパソコンのキーを操作し、その人に合った曲のフレーズを流す。

すると、人生の大事な場面でそのフレーズを聴いた人たちは、各々メッセージを感じ取り、

背中を押してもらったり晴れやかな気分になったりするのだ。


(本の中に出てくるフレーズのすべてが「斉藤和義」さんの過去の歌詞からの引用らしい♪)


「僕の書く話にしては珍しく、泥棒や強盗、殺し屋や超能力、恐ろしい犯人、

特徴的な人物や奇妙な設定、そういうものがほとんど出てこない本になりました」と

伊坂さんが言うように、

”そういうもの”に抵抗がある人にも楽しんでもらえるような物語になっている。


植物の芽が育つように、小さな夜の曲を集めたような”出会い”が

ゆっくりと成長していき、小さな実を結んでいく物語。


それぞれの人生の主役たちは、次の出会いでは脇役にまわり

他のひとの人生に花を添える役割を果たす。


どんな花にも様々なドラマがあって、それを盛り上げる為に

まわりでは効果音が小さく奏でられているのだ。


ひと際美しい花であるところの「織田由美」を主役とした物語がなかったのは

伊坂さんの策略だろうか?


「織田由美」…

大人しい雰囲気ながらどこか自然体の美人で、

ありとあらゆる場所で男子に告白されながらも、

大学を辞め、ありえないような男とあっけなくできちゃった結婚をした女。


みんなが釣り合わないと思うような男と暮らし、

子育てと仕事と旦那に振り回されている女。


「うまく言えないけど、あの旦那とわたしと子供たちの組み合わせがね、わたしは結構好きなんだよ」

と織田由美は友人に語る。


織田由美のエピソードが描かれなかった分だけ、想像力が勝手に膨らんでいく。

「織田由美」の本質は? 彼女が望む理想の生活とは?

ふぅ、、、 きっと、私とは、ぜんぜん違う…



それから、四つ目の短編の「ルックスライク」に出てくるセリフの

「あの、こちらがどなたの娘さんかご存知で喋っていらっしゃるんですか?」は

平和的解決法としてはなかなか良い作戦だよね。(あまりリアリティはないけどw)


そんな風に、この伊坂さんの小説は、

セリフの一つ一つがユーモアに溢れているし、

小説のプロットも文句なく素晴らしくて

(かつ、今回は残酷なシーンがなかったので)すぅーっと気持ちよく読めた。


伊坂さんが興味のないという”恋愛”のシーンも、ほんわりと温かくて好き♪


---------------------------------------


いつの日か、どこからか流れてくる「風」のような調べがやってきて

それは私の部屋にも知らない誰かの面影を連れてくるのだろう。


最初は小さな出会いであっても、

それはやがて私にとっての「大きな転機」になるかもしれない調べ…


「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をYou Tubeで探して聴いてみる。

軽快なピアノの音がとても心地良い。


だけど、私は思う。

「小夜曲っていうわりには、夜に聴くと少し騒々しいかもだなぁ…w」


出会いみたいに。


---------------------------------------




[PR]

by ai-3sun | 2017-12-14 23:20 | books

『黒猫の遊歩あるいは美学講義』(森 晶麿)


『黒猫の遊歩あるいは美学講義』は、6つの短編小説で出来ていて

この作品は第1回「アガサ・クリスティー賞」を受賞している。


なので、最後のところは”後書き”ではなく選考会の”選評”が書かれている。

(こうやって決まったのだな、となかなか興味深い)


ストーリーは、エドガー・アラン・ポオの作品の解釈を交えての

哲学的解釈、美的解釈をなどもミックスさせた

美しくも儚い非現実のような日常だ。


探偵役は、美学、芸術学を専門とし、黒いスーツに身を包んだ24歳の大学教授、通称「黒猫」。

そして、黒猫の「付き人」を仰せつかったポオの研究者である”わたし”(女性)が語り部だ。


複雑な恋愛感情に心を囚われてしまった人たちのために

謎をひも解いていく2人。


謎は小さいけれど、どこか美しい物悲しさを帯びている。


第3話『水のレトリック』はタイトルも含めて好きなストーリーだ。


「付き人」のお気に入りの一曲であるマリリン・モンローの絵のジャケットの

”ステレオフィッシュ”のアルバム『another life』の中の1曲が「ROSSO」なのだが、

この辺りは、伊坂さんの「フィッシュストーリー」をちょっと思い起こさせる。


『紅』という名の香水がキーになっていて、読み進めると

物語の中から川の匂いや香水の匂い、音楽までもが私の元に漂ってきそうだ。


第4話の『秘すれば花』は、世阿弥の「風姿花伝」の一節

”秘すれば花、秘せねば花なるべからず”から来ているのだが、

それがどのように物語と関わってくるのかがポイント。


しゃなしゃなしゃな

しゃなしゃなしゃな

しゃなしゃなしゃな


雨の音が、匂いが、押し寄せてくる。


(この部分が好きだなぁ。しゃなしゃなしゃな...猫の歩みのような素敵な響き♪)


ポオの作品のネタばらしは、原作に対する敬意と配慮に欠けると批評されていたが

私は「黒猫」ぐらいしか読んだことがないので、

ポオの作品もきちんと読んでみたいと思った。


森さんの「黒猫シリーズ」の続編もたくさん出ているみたいだから

合わせて読んでみようかな。。



なんだか、少女マンガにハマった頃の自分を想い出しますw



---------------------------------------


[PR]

by ai-3sun | 2017-11-22 23:08 | books

『The Long Goodbye / ロング・グッドバイ』(レイモンド・チャンドラー / 村上春樹訳)


「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」  

(To say goodbye is to die a little.)


その男の名はeつきのマーロウ(MARLOWE)42歳。私立探偵。


(そう、、、私は『MARLOWE』のプリンのロゴを見ていたら、無性にフィリップ・マーロウの物語が読みたくなったのだw)


読み終わった感想としては、およそ600ページの本なのに

飽きることもなく、ミステリーと共に細部の描写まで味わい尽くす事が出来てご馳走さま!って感じ。


ただし、マーロウという人物がどのような感情を持って生きているのか

窺い知ることが出来ない。


(私だったら、貰えるお金は有難く頂戴し、大富豪と結婚できるなら

 たとえ短期間だったとしても結婚したいと思ってしまう。)



ポイント:〔本文の後には「訳者のあとがき」が50ページほど付け足されている。〕


そして、度々気になったのが背景や状況に対する描写の仕方だ。

例えば…


「鉄条網とビール瓶の破片を餌に育てられた山羊たちでさえ…」


「この事件はすでに片がついて、はんこが押されて、防虫剤とともに押入れに仕舞い込まれた。」


「湖は眠った猫のように身動きひとつしない。」       …など


こういう表現が頻繁に出てくると、もはや

レイモンド・チャンドラーというより、村上春樹ワールド全開な感じで。

(…と、この時は思っていた。)


原文がどうなっているのか気になるが

何しろ日本語でも長文の小説なので、原文なんてとても読めそうもない…(^^;


(そのあたりの疑問は、こってりとした「訳者あとがき」で村上春樹さんから説明をしていただける。)



村上春樹さんは、

レイモンド・チャンドラーの『The Long Goodbye / ロング・グッドバイ』は

翻訳した物と原文と何度も読んだそうだ。


『The Long Goodbye』はレイモンド・チャンドラーの作品の中でも秀逸らしい。


チャンドラーのこの小説に対して

”文章的にはきわめて雄弁であるものの、

人の意識を描こうというつもりは彼にはほとんどないようだ”と、

村上さんは「訳者あとがき」で述べている。


”プロットとはほとんど関係のない寄り道、やりすぎとも思える文章的装飾、

あてのない比喩、比喩のための比喩、なくもがなの能書き、あきれるほど詳細な描写、

無用な長口舌、独特の屈折した言い回し、地口のたたきあい”

そういうものに、村上さんは心惹かれてしまうという。


レイモンド・チャンドラーのこの小説は、ハヤカワ・ポケット・ミステリから

1958年に清水俊二翻訳の『長いお別れ』というタイトルで刊行されているらしいのだが

かなり多くの文章が意図的に省かれているそうだ。


単純にミステリー小説好きだったら、

物語の大筋に関係のない”あてのない比喩”などが頻繁に出てくると

確かにイライラしてしまうかもしれないが。


また翻訳するにあたって、時代背景や、言葉、文化の違いなど

表現しにくい細かい描写を日本語に置き換える難しさなどもあるだろうし。



「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」
(To say goodbye is to die a little.)
  


有名なこのセリフも、感覚的には理解できるのだけど

他の読者の方々はどんな風に解釈するのかな…


ミステリー小説だけでは収まらない文学的要素も含めて

「訳者あとがき」まで全部読むことをおススメします♪



---------------------------------------




[PR]

by ai-3sun | 2017-08-23 22:33 | books

『ビブリア古書堂の事件手帖7』~栞子さんと果てない舞台~(三上延)

これがビブリアシリーズの最後の作品という事なので

勿体なくてすぐに読めなかった…w

本棚でだいぶ寝かせて(?)から、少しずつ読もうと思っていたのに

読み始めたらあっという間に読み終わってしまった。


大好きなシリーズが終わってしまうのはとても残念だ。


でも、あとがきに

「本編で完結しますが、番外編やスピンオフというカタチでまだ続きます。」と

書かれていたので、それに期待しましょう!


気になるのは実写&アニメ映画化決定の話だよね。

特に心配なのは実写版のキャスト(^^;

主役の”栞子さん”は

どうか剛力彩芽さんではありませんように…


〔栞子さんの特徴〕

本の虫で眼鏡をかけた美人。頭も切れる。

背中まで伸ばした長い髪。華奢で小柄ながら豊かなバスト。

本に関すること以外の話をするときは、声が小さくなる極端な人見知り。

大学を出たばかりの五浦大輔くんより年上の女性。


ビブリアシリーズのファンとしては、正直なところ実写化はして欲しくないなぁ。

読書というのは、それ自体が思い出になる。

読みながらその時に感じた気持ちやイメージを壊されたくないよね。


映画化すると本が売れるそうなので、どんな映画になろうと

作者にとってはお得らしい。


結局、世の中ってそういう事なのかな…


---------------------------------------




[PR]

by ai-3sun | 2017-04-21 23:26 | books

『水鏡推理Ⅳ アノマリー』(松岡圭祐)

判断推理の才能に長けた”水鏡瑞希”25歳。


彼女は「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」

に属している一般職事務官だ。

*「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」とは平成25年8月、

 文部科学省内に設置され現在も実在するという。


省内において一般職は総合職(キャリア)と区別して扱われる。

瑞希は国家公務員の一般職試験には合格したが、偏差値の低い大学出身であるため

自分がこの仕事に向いているのかどうか疑問を持ちながら仕事をこなしている。

また、幼い頃には阪神・淡路大震災を経験しており

探偵事務所でバイトをした経験によって判断推理の能力を身につけた。


民間の気象予報会社の天気予報の誤りにより

”女子少年プロ登山プロジェクト”の少女4人が八甲田山で遭難し、何の関係もないはずの

浅村琉輝(”研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース”の総合職)が

山で彼女達のSNSの写真に映りこんでいたという不思議な事件が起きた。

(女子少年: 少年院入院者の女子の呼び方)


NPO法人の代表者、天下りの官僚、省庁の役人たち。

どの人間も嘘をついているようで

瑞希は誰を信じたらいいのかわからない。


そして、女子少年達の親さえも…

親の愛情を知らない子ども達は非行に走り易いだろう。

間違った考えを押し付けるような親とは決別するべきだが

中学生がひとりで生きて行くことは難しい。


親は子どもの事をどんな時も大切に思っているのか?

愛情のない子育てをしている親に育てられると子どもは人生を狂わされてしまう。

だから、この小説ではきっぱりとダメ親との決別を促している。


ところで、小説のタイトルになっている”アノマリー”とは

法則や理論と比較し説明不可能な事象のこと。


前作の『水鏡推理Ⅲ パレイドリア・フェイス』(←こちらは地質学、地球磁気学)同様

難しい専門用語がたくさん飛び出す『アノマリー』(←こちらは気象学)だが、

読者の知識欲が掻き立てられ、脳の活性化間違いなし!の作品だ。


松岡圭祐さんの作品の素晴らしい所は、知識欲が満たされるだけじゃない。

水鏡瑞希に限らず、ヒロインが”女性”であることを決して武器にしない事だ。

どちらかと言うと落ちこぼれだったヒロイン達は、努力をし、経験を活かし、

機転を利かせて困難に立ち向かっていくのだ。


”水鏡”の意味は、「水がありのままに物の姿を映すように、物事をよく観察して真情を見抜き

人の模範となる」こと。


本来なら人の模範であるべきは”官僚”なのだが、彼らには道徳心のかけらもない。

(…と描かれている)

現実の世界も”正義”は”権力”にいつも捻じ曲げられているのだろうなぁ。。

せめて物語の中だけでも、正義が貫かれて欲しいと願う。


---------------------------------------



[PR]

by ai-3sun | 2017-03-31 23:33 | books

本がちょっとだけ好きになるかも。。


『本をめぐる物語~栞は夢を見る~』ダ・ヴィンチ編集部=編

この本は7人の作家によるアンソロジー形式の小説です。

それぞれの作家さんが本にまつわる不思議な空間を

様々な趣向を凝らして描いています。


(作家名)

大島真寿美 / 柴崎友香 / 福田和代 / 中山七里 / 雀野日名子

雪舟えま / 田口ランディ / 北村薫


私がまず気に入ったのは柴崎友香さんの「水曜日になれば(よくある話)」です。

(全然”よくある話”ではないけれど…w)

地図に載っていない本屋、ショップカードの番地が「1-7-水曜日」の本屋があったなら…

もうこの時点でマックスなわくわく感☆!

見つけることさえ難しい本屋には一体どんな本が並んでるんでしょう!


…なんて、夢みたいな事を考えながら読み進めていくと

その次の物語「ぴったりの本あります」/ (福田和代著)に驚かされる事になります。

「やっぱり見慣れない本屋さんには絶対に近寄らないようにしよう!」と

今度は断固とした面持ちにさせられるのです。


他の方の作品もホラーやミステリアスな要素が多く

私の想像していたような感動的な展開(?)は少なかったけれど

それはそれでとても面白い作品ばかりでした。

(普段読んだことのない作家さんの作品に触れる事も出来るしね。)


こういう短編集は、電車を待ってたりする”スキマ”時間にぴったり!

本好きさんじゃなくても読みやすい、おススメの一冊です♪


---------------------------------------




[PR]

by ai-3sun | 2017-03-02 23:12 | books

「嫌われる勇気」で人は幸せになれるのか?



嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見 一郎,古賀 史健/ダイヤモンド社

undefined



「嫌われる勇気」というタイトルのドラマも放送されたりと何かと話題の本ですよね。


---------------------------------------


この本は、”嫌われる勇気”を持つ事によって

人は変われるし、幸せになれるという「アドラー心理学」について

青年と哲人の対話篇という物語形式を用いてまとめた一冊という事です。



この本のいくつかの設問に対してひっかかった部分があるので

↓に書き出してみました。(黒い文字が私の感想)



◆トラウマは存在しない


”トラウマ”に関しては、私は”ある”と思う。

そして、これからも存在し続けると思う。

過去を切り離すことは難しいし、過去から学ぶこともあるし…


けれども、”トラウマ”や”後悔”が

私を前に進ませてくれないのも真実。



◆すべての悩みは「対人関係の悩み」である


ホント、対人関係の悩みは尽きないよね。

どんな場所、どんなコミュニティにおいても。

そして、人をおだてるのが苦手な私は、よく嫌われる…(苦笑)

人間として欠陥のある人に気に入られても嬉しくないから

嫌われてもいいんだけど。

(↑これは「嫌われる勇気」と言っていいのか?)


人と人とのつながりは、縦の関係ではなく、横の関係にすること、

叱ったり褒めるのではなく、感謝の言葉を述べると良い。


私はこう見えて(?)感謝の言葉はちゃんと伝えるタイプ。

「ありがとう」と「ごめんね」が言えない人とは付き合いたくない。



◆人生は他者との競争ではない


”人々は私の仲間である”という意識が大切だという。


それについて異論はないのだが、

競争をしたがる人に巻き込まれてしまう事は多い。

相手がライバルじゃなく仲間だと思ってくれないと始まらない。

私が変わっても、他の人も変わってくれなければダメじゃないか?



◆ここに存在しているだけで、価値がある

◆普通であることの勇気


身体の弱い自分を、普通の人より劣っていると思う事がしばしばある。

”健康で普通に生きている人”がマジ羨ましい!!のだ。

(普通で暮らせるって、すごいコト!みんな、どーして気づかないの? )


自分を好きでいられるなら、存在しているだけで価値があると思えるのか…


ハンデがあっても「普通を目指していく」だけの勇気はあるけれど。



◆自己肯定ではなく、自己受容


自分が「できない」のに「できる」と暗示をかける事ではなく

「できない自分」をありのままに受け入れ、できるようになるべく、前に進んで行くこと。


私はある時期から

「できないこともある自分」という容れ物を受け入れて来た。

そして、自分の出来る範囲で頑張ってきたと思う。


ただ「他者信頼」に関しての”勇気”だけは持てない。

それを”勇気”と呼んでいいなら…



◆「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てよ


人生は連続する刹那であり、過去も未来も存在しない。

”いま、ここ”を真剣に生きるということ。


私は「未来」が見えなくなってから

「今」を何とかやり過ごしていく事ばかり考えている。


私の”宿題”をクリアしても

平気で自分の”宿題”を丸投げしてくる人たちがいるからね。


一日一日を”真剣”に生きてきたのに

何か実った?


少しでいいから「幸せな未来」を見せて欲しい。


「過去」も「未来」もない「ここ」には、何も存在しないのと一緒…

確かに「刹那」ではあるけれど。


(私、心が病んでるかも?)

---------------------------------------


正直に言うと

自己啓発系の本は、押しつけがましくて苦手です。


私には「アドラー心理学」が上手く消化できなかったみたいですね(^^;


---------------------------------------




[PR]

by ai-3sun | 2017-02-18 14:04 | books

『スカラムーシュ・ムーン』(海堂尊)


”スカラムーシュ”こと彦根先生が出てくるシリーズは、絶対的に面白い。


シードラゴン(海竜)って、 ”タツノオトシゴ”の意味だったのね…とか

そういう何て事のない発見すら楽しいのだ。(余談ですけどw)


スカラムーシュ・ムーン

海堂 尊/新潮社

undefined


今回の物語の軸になるのは、新型インフルエンザワクチンの開発。

それを政治的な思惑によって阻止しようとするお役人たち。

あ~あ、全く霞が関の官僚には嫌気がさしてくるよね。

(本当にありそうなので…)


唯一救われるのは、卵へ愛情を注いでいる人達の存在だ。


ニワトリの卵からインフルエンザのワクチンが出来るとは聞いていたけれど

ニワトリを飼育し、無精卵ではなく有精卵の卵を産ませ

その卵を搬送する事は、想像以上にデリケートで大変な仕事なのだ。


(こんなに卵を大切に扱ってくれてるから

 私達はいつも美味しい卵を食べられるんだね。ありがとう!)


そして、インフルエンザワクチンの製造も、研究所はもちろんのこと

養鶏業者や運送業者の方々の力がないと出来ないんだな…と痛感。


それにしても、なぜニワトリに”鳥インフルエンザの予防ワクチン”を投与出来ないのかって

疑問も残るよね?

(それに関してはこの本の中で詳しく描かれているけれど)


安価で卵が手に入る事は、私たちにとっては非常に有難いのだけれど

こんなにリスクが高いのに適切な価格で取引されなかったら

仕事をする人がいなくなってしまうんじゃないだろうか…


政治的な背景だけじゃなく、

インフルエンザ患者が急増中の今だからこそ、より興味深く読める一冊だと思う。


インフルの予防法? それは、

「手洗い」「うがい」「養鶏業者さんへの大いなる感謝の気持ち」を怠らないこと!です。
(私の場合はね!)


---------------------------------------




[PR]

by ai-3sun | 2016-12-15 22:52 | books