「ウルビ、ソンコ、パラ、サヤイ」

ふくわらい (朝日文庫)

西 加奈子 / 朝日新聞出版




『ふくわらい』(西 加奈子)


(注)この本の作中には『ふくわらい』というタイトルからは予想もつかないキワドイ言葉アリ!

   フリースタイルダンジョンだったら、”コンプラ”マークだぁ~~~w
 

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4歳の頃、雑誌の付録についていた『福笑い』で遊んでから

『福笑い』がこの世で一番面白い遊びだと思った”鳴木戸定”(ナルキド サダ)。


父の栄蔵は紀行作家で、「定」という名は

作家のマルキ・ド・サドから名前をつけたらしい。(変人すぎる!)


定が5歳の時に母親の多恵が亡くなったので、栄蔵は定を様々な国に

連れていくようになった。


7歳になった定は、ある国のR族の慣習に従って

コミュニティの中で死んだ人を葬る儀式に立ち会うことになる。

(その経験がのちの定に大きな影響を与えるようになるのだが…)


定が12歳の時に栄蔵がこの世を去り、彼女は18歳まで親戚の家で面倒を見てもらう。


その後、2DKのマンションでひとり暮らしを始め、

25歳の今は出版社で文芸編集部の編集者をやっている。

しかし、”小暮しずく”(ぱっちりと大きな目と少女のような愛らしい唇をもつ1年後輩)や

無理難題を言ってくる作家の面々と、定の会話はどこか噛み合わない。


処女の裸が見たいという”水森康人”や、雨が止まないと書けないという”之賀さいこ”の要望に

定はどう対処するのか?


『福笑い』のように相手の顔から目や鼻を切り取って、

頭の中で自由自在に他人の顔に張り付けていく定。

定にとって人の顔の判断基準は美醜ではなく、「面白い」かそうでないかだ。

だから、定は週刊誌のコラムを書いている”守口廃尊”(モリグチ バイソン)

というプロレスラーの顔がとても気に入っている。

(無神経な話ばかりするのだけどね。)


「言葉」は福笑いのパーツのように文字のひとつひとつが小さな絵になっていて

組み合わせ次第で無限に広がっていくという喜び…

それが定の編集者としての心を占めているようだ。


そんな定がある日、白杖を持つ目の不自由な”武智次郎”と出会う。

イタリア人の父と日本人の母から生まれたエメラルドグリーンの目をした男。

(ただし、千葉で離婚した母と同居中の34歳。)

顔が見えない武智にとっては、優しくしてくれた定が「定のすべて」だ。


人の心の機微が分からないと言っていた定だったが、人と触れ合ううちに

定に変化が訪れる。

(それぞれのエピソードがとても温かく心地良いの!)



人間は顔を見て人を好きになる訳じゃないけれど、

例えば、その人の顔の配置が少しでもズレていたら

その人を好きになっていたかな、と考えてみる。


(大切なのは心だって言うけど、心の中はなかなか見えないもんね。)


自分でも分からない”痛み”を吐き出せた時から

本当の定の人生が始まるのだ。


心の痛みにはちゃんと向き合わないと、いつか自分が壊れちゃうよね。

私も誰かに心を許して思い切り泣いてみよーかな? (なーんてw)


弱い自分の事もちゃんと受け止めてくれる人に出会えたなら

それはすっごく幸福なことだと思う。



* あとね、もし映画化とかするなら、”定”役は安藤サクラさんかな。



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by ai-3sun | 2016-05-02 09:10 | books